オリジナル短編小説を書いてみた 恭一と加代②

昔の面影を残す蔵造りの家屋もちらほら見かけるが、ほとんどがシャッターを閉めている。
まさに、シャッター街の一歩手前。
が、このままでは終わらないとばかりに、現在、タワーマンションの街として生まれ変わろうとしている。
同じ蔵の街として知られる川越とはまるきり正反対の道を選択したこの判断は正しかったのかどうかは分からない。

今のところ、タワーマンションは三つ。しかしこれは序の口で、来年も再来年も、次々とマンションが建つ予定だという。
タワーマンションを見上げ、恭一は思う。
新旧がこれほどまでに曖昧に共存している街は、そうそうない。例えば、絢爛たるタワーマンションが建ち並ぶ小金井街道と平行して流れる東川、その川向うはまったくの別世界だ。
Qマンションの裏側、三メートルあるかないかの橋を渡ると、とたんに空気が変わる。
それはどこか懐かしい昭和の匂いが漂う雑然とした町並みだ。
かつて、そこは裏町と呼ばれたという。そう、そこは-。